公開: 2023年4月14日
更新: 2023年5月19日
国家間の戦争は、ある国が、他の国に対して、「今、攻め込めば、戦争に勝てる」と考えて、攻撃を開始することで始まります。第2次世界大戦で、日本軍が米国などの軍隊に対して、攻撃を開始して、戦争を始めたのも、あの時ならば、米国などの軍隊に勝てるかもしれないと、考えたからでしょう。もちろん、経済規模の差から、「勝ち目はない」とする意見も、少ないわけではありませんでした。
このことから、「先制攻撃を受ける国の軍の装備が、圧倒的に先制攻撃を仕掛ける国の軍隊を凌いでいれば、先制攻撃はできない」とするのが、軍事の専門家達が信じている理論です。現実には、第2次世界大戦前の日本も、米国との軍の装備の比較で、劣っていたことを知りながら、戦争を始めたので、この理論が常に成り立つとは、言えません。
この理論は、戦争が、冷静な思考力を持った国の指導者同士の間で、決められることを前提としています。しかし、実際には、戦争は、外交の専門家が指摘しているように、敵の国の脅威、自分の国の威信を守ろうとする姿勢、自国の富を増加させようとする利己的な思想によって引き起こされます。先制攻撃力が、戦争着手の決定を押し止める力は、現実には、弱いでしょう。